++English七転八倒++

「これって英語でどう言うの?」な毎日の備忘録

愛すべき不器用過ぎるエレノア!!小説: Eleanor Oliphant is completely fine

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by Gail Honeyman

主人公のエレノアは不器用で少し神経質なオフィスワーカー。同僚との会話にも積極的には参加せず、金曜の夜の冷凍ピザと週末に飲むウォッカ、そして水曜日の夜の母との電話というルーティンをただただ繰り返して生活しています、ある日、道で倒れた老人を助ける日までは。。。

そこから彼女の生活が少しずつ変わり始め、それと同時に彼女の抱える秘密も少しずつ読者に明かされていきます。

読めば読むほどエレノアのことが好きになり、最後の章を読んでいる時は、もうこれを読み終えると彼女に会えなくなる、と思うと本当に寂しい気分になりました。

思っていることをちゃんと口にできる人もいれば、うまく伝えられない人、あるいは自分でも自分の思っていることがよく分からずに混乱している人、普通に話しているだけではなかなかその人のことって分からない時がありますよね。私の人生の一コマにエレノアという人が現れた時、私はちゃんと彼女の素敵さに気付けるだろうか、と考えさせられました。このお話に出てくるレイモンドは、彼女の不器用さの後ろに控えている純粋さや優しさに気付いて、温かい友情を育んでいきます。

ほとんどの登場人物が優しくて、その優しさに時々泣けてきたりして、読んでいてとても心がきゅーっと切なくてそしてあったかい気持になるストーリーでした。

表現:Goldilocks

Goldilocksというのは、日本でもよく読まれている、3匹の熊と女の子のお話です。これは「Goldilocks and the three bears」というタイトルでほぼ全ての子供が読んでもらったことのあるお話だと思います。ある日一人で森を散歩していたゴールディロックスという女の子が3匹の熊の住むお家にお邪魔します。熊の家族はちょうど出かけていて家には誰もいません。

彼女はダイニングに入って、3人分用意してあったおかゆを食べようとして、まずは一つ目のボウルに手をつけます。しかしThis porridge is too hot. と言って次のボウルを試します。でも今度は This porridge is too cold. そして最後に残った子熊用のボウルの中のおかゆを試すと、 Ahh, this porridge is just right.  と言って、やっとみつけた自分にちょうどいいおかゆを全部食べてしまいます。こんな風に家の中を探検し、最後にベッドルームに入り、3つのベッドを順番に試してみて、too hardでもtoo softでもなくjust rightな子熊のベッドに潜り込んで寝てしまいます。このお話は帰って来た熊の家族に見つかったゴールディロックスが驚いてごめんなさいも言わずに慌てて逃げ出してあっけなく終わります。

このみんなが知っている子供のお話は、しばしば大人の会話の中にもGoldilocks Strategy、とかGoldilocks Principle、という形で自分にとってちょうどいいものを見つけることが大切だ、ということを伝える際に使われます。

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本の中でも、例えば「Eleanor Oliphant is completely fine」では、主人公のエレノアがその日の晩のコンサートに着て行くための服を急いで探さないといけなくて、店員さんを探している時にこんな風に出て来ます。

The shop floor was vast, and I decided to request assistance. The first woman I saw was matronly, and did not seem well placed to dispense fashion advice. The second was in her late teens or early twenties, and therefore too callow to advise me. The third, in the manner of Goldilocks, was just right—around my age, well groomed, sensible-looking. I approached with caution.

 

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アメリカの世代間と人種間のギャップを感じる小説:Such a Fun Age

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by Kiley Reid
フィラデルフィアのアッパミドルクラスの家でベビーシッターをしている20代半ばのEmiraとその雇い主であるその家の母親Alixと、Alixの高校時代のボーイフレンドで今はEmiraと付き合っているKelleyが繰り広げる腹の探り合いのような物語。

人種差別やクラス社会に関して若い人の目線で描かれているのが日本人の私からすると興味深かったです。定職もない、そのために自分名義の社会保険もない主人公のEmiraは自身が置かれているそんな状況にずっと悩みながらなかなか抜け出す方法が見つからない。彼女の仕事の中で一番時間単価が高いのがAlixの家の子供のベビーシッター、という状況。雇い主のAlixの独善的な対応に違和感を覚えながらも、EmiraはAlixの子供のBriarが大好きで彼女の成長をずっと横で見ていたい気持ちもあってなかなか辞める、とは言い出せず。

2019年の年末に出版されて以来、長い間ベストセラーリストに上がっていたので読んでみました。それぞれの登場人物の描かれ方がステレオタイプでパーソナリティとして未成熟だ、という批判も多く、その通りだ!と思う反面、実際に未成熟な人たちが集まってコミュニケーションしたらこういうことになるだろうなぁ、という部分では逆にリアリティがあるのかも知れない、とは思いました。

作者は1987年生まれでMillenial世代ど真ん中。この小説はそんな彼女のデビュー作。ガツガツと人生を切り開くようなタフな生き方が少し苦手な主人公EmiraはMillenial世代を象徴するひとつのパーソナリティかも知れないなぁ、とも感じました。

小説のほぼ終わりの部分で、Emiraはやっといい雇い主に巡り合って、落ち着いて満足して働ける職場を見つけて数年働いていたところ、その雇い主にこう言われます。

“Good bosses shouldn't make you happy in a job that they wouldn't want to do themselves," she said. "It's my job to make you so miserable that you're forced into finding something that brings you joy, and then I help you seal the deal.”

その雇い主はEmiraにとってはいい人で居心地も良かったので彼女はずっとその職場でもいいと思っていたのに、「こんな仕事何年もやってたらあなたのキャリアのためにならないよ、あなたにそう思わせなかったのには私の働かせ方にも問題があったのね。(もっと惨めな気持ちになって早く辞めたくるような仕事のさせかたするべきだった、と)とボスは言うわけです。もちろんスタッフの次のキャリアを考えてのことなんでしょうが、日本でぬるま湯のような会社でしか働いたことのない私からすると実にタフな社会だな、と思わずにはいられませんでした。

表現:You can't be too careful.

意味としては気をつけたほうがいいよ。で、ニュアンスとしては気をつけるに越したことはない。という感じでしょうか。

You shoud be careful. よりもナチュラルに聞こえます。

 

ちょうど今読んでいるEleanor Oliphant is completely fine. (by Gail Honeyman)の中で出て来たので転記しておきます。主人公のエレノアの家に様子を見に来たソーシャルワーカーに対するエレノアの気分です。ドアを開けたらいつもの人と違う人が立っていたので彼女はこう思います。

I asked to see some form of official identificationーI mean, you can't be too careful. She gave a tiny sigh, and began to look in her bag.

 

 

 

 

Estate sale

 

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今週の金曜日、ボストンでは初雪が降りました。

これが10月としては15年来の記録的な雪だったらしく、午前中で実に10センチくらい積もりました。子供たちが初めて作ったJack-o'-Lanternも雪の中でなかなかの趣きを放っていました。

そしてハロウィン当日の朝、我が家の前には見知らぬ車が行列をなして停まっています。夫と私はそれを見ながら、この時期ならではのイベントでもあるのかな。それとも雪が積もっていて雪かきの間よその家の前に車を停めているのかな、とか話していました。

しかしその翌日の日曜日もまた別の車が列をなして停まっています。たまたま車に戻ってきた人に声をかけてみると、、、

Estate Saleがあるのよ。と。 「Estate Sale」確かに立て看板が家に帰る道すがら、ありました。でも、家の周りに売り出し中の住宅もあったので、無知な私はてっきり家を売っている看板かと思い、気にも止めていませんでした。しかし、その人が教えてくれるに、「Estate Sale」とは「Estate Liquidation」、つまり家全体の中で売れるものは売って現金化する、というものだそうで、今回はオーナーの方がお亡くなりになり、その御子息が家を処分するために行っている、ということでした。その話を聞いて、興味半分でお邪魔してみました。オーナーの方は20年くらいそこにお住まいになっておられたようで、初日に価値のあるものはほとんど買われてしまったそうですが、それでも、ものすごい量の故人の生活の残り香のような品々がありました。なんだか小さな街の小さな博物館を訪れたような気分になりました。

 

ちなみに、同じような言葉で馴染みがあるのは

「Yard Sale」です。コミュニティ限定の情報交換SNSのNextDoorやCreiglistなどでよく告知されています。フリーマーケットを自分の家の前でやる感じでしょうか。実は今回、私も初めてCreiglistでラグを安く譲って頂くことになりました。明日、取りに行ってきます。

 

戦禍でのこの主人公たちの生き方を完全に今の自分が消化するのは難しい。小説:Nightingale

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by Kristin Hannah

第二次世界大戦下でそれぞれの信じる方向でひたむきに生きる姉妹のお話。アラスカで育つ少女の話、The Great Aloneはこの小説の後に書かれたものです。

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コロナで子供たちの学校が今年の3月半ばに急遽休校になってから7ヶ月が経ちました。子供たちのスポーツの試合も一部復活しつつありますが、久しぶりにみんなが体を動かす姿を見ていると長かったステイホームから少しでも体を動かせる場を与えてもらったことに感謝すると同時に、ほとんどの子供たちが以前に比べて動くスピードが落ちていることに気づかされます。ただ、家にいてオンラインだけで友達や学校とつながっていた時間。普通の生活が送れない環境の中で人は何を得て何を失うのか、と考えずにはいられませんでした。得たものは、、、ありがちですが家族との濃密な(過ぎる?)時間とか。

だけど、戦争はただただ大切なものを失い続けていくことなのだとこの小説を読んで改めて感じさせられました。ただただ大切なものを失い続けて行く中で、尊厳を持って生きていた主人公姉妹に感銘を受けましたが、その生き方を完全に私自身が理解するのは難しいと感じました。自分ならどうするか、彼女たちはなぜそう選択したのか。自分の信念に背かないため、子供にあるべき生き方を示すため、あるいはただ目の前の誰かを助けるため、など色々な理由があるでしょうがきっとどれも決して合理的には説明できないのでしょう。と同時に、本当に人間の尊厳を奪えるのは人間の悪意だけなのだ、ということも直視させられました。

ボストンの街中にNew England Holocaust Memorialと呼ばれるモニュメントがあります。その中心となるガラスの6本の柱には6桁の数字が上から下まで隙間なく刻まれています。それはホロコーストで殺された人たちの番号です。透明なガラスの柱を通り抜けながらその数字の量と、その全てが人の命を表している事実に圧倒されます。その中にはサバイバーの方たちのコメントもいくつか書かれています。その中の一つで、忘れられないものを下記に添付します。

"Nothing belongs to us anymore. They have taken away our clothes, our shoes, even our hair. If we speak, they will not listen to us. And if they listen, they will not understand. They have even taken away our names. My number is 174517. I will carry the tatoo on my left arm until I die."-Primo Levi

 

Nancy Drew シリーズ

Nancy Drewシリーズは1930年にスタートし、その後、社会状況や常識の変化により書き直されて再出版されています。私も小学生の頃に学校の図書館にあった翻訳版を何冊か読みました。表紙の絵が怖くてなかなか手に取りづらかったけど読んでみたら面白かった記憶があります。子供が読んでいたので改めて2冊読んでみました。今回私が読んだのは再出版の方で、オリジナル版を読んだ人は大抵「オリジナルの方が断然面白い」と評価しています。日本語も同じでしょうが、昔の表現は言葉や人物設定が差別的な部分などがあって今の社会で出版するのは不適切な部分があるので致し方ないのでしょうね。。。

 

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The Hidden Staircase

これはシリーズの2作目でオリジナルは1930年です。事件はナンシーが友達のヘレンから、叔母のローズマリーについてこんな相談を受けることから始まります。(再出版バージョンより)

You've heard me speak of my Aunt Rosemary. Since becoming a widow, she has lived with her mother at Twin Elms, the old family mansion out in Cliffwood. Well I sent to see them yesterday. They said that many strange, mysterious things have been happening there recently. I told them how good you are at solving mystries, and they'd like to come out to Twin Elms and help them.

文章は全体的に日本人の私にもとっても分かりやすく、英語の勉強をしている人にとっても大変読みやすいお話だと思います。例えば上記下線部分のように教科書で習うような文体がたくさん出てきます。

 

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The Mystery at Lilac Inn

こちらはシリーズ4作目。これは確実に子供の頃に読んだと思います。上記の表紙の絵とは違うんですがとにかく表紙の絵が不気味だったのを覚えています。

こちらの事件の始まりはこんな感じです

ナンシーと友達のヘレンは、自宅のあるRive Heights(イリノイ州)からカヌーでとある場所に向かっている途中、花壇の草むしりをしている友人に会います。その友人は別の友達から30分前に電話がかかってきて、街中でナンシーと話した、と言います。

"My friend Phyl told me on the phone just half an hour ago that she had talk with you."

二人は首を傾げながら、そんなはずないのにね、似たような人がいるのかな、と言いながらナンシーはこう返事をします。

"To visit overnight with Emily Willoughby and her aunt at Lilac Inn. They're family friends. Emily and her fiance-we've never met him- have bought the inn, and Em tells me, plan to run it full time."

でも、二人がこのライラック荘に到着すると、不穏な事件が色々と起こってきます。

このお話の中では現在完了形、過去完了形、がとても明確に使われていて分かりやすいです。