++English七転八倒++

「これって英語でどう言うの?」な毎日の備忘録

アジア人としてアメリカで生きていく道 小説:WHITE IVY

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by Susie Yang

5歳の時に中国からアメリカにやって来た女の子、Ivy。ボストン郊外の街でアメリカ生活のスタートを切った彼女は上昇志向の強い両親に中学生の時に入れられたプライベートスクールで、上院議員の息子Gedionと出会います。そこでほろ苦い経験をして、Ivyの家族はニュージャージーへ引っ越します。年月は巡って、過干渉の親から離れるべく大人になった彼女はまたボストンへ戻って来てそこで偶然にもGedionと再開し、、、

というストーリーですが、常に上昇し続けることを願う両親と、ブレずに中国的な考え方を貫き続ける祖母と、そんな中で生きづらさ全開の不器用な弟を持つ彼女は、アジア人としてアメリカ社会に入っていく中で、正直な自分自身は常に奥の方にしまったままコンプレックスを抱えながら生きています。

この家族はもともと中国大陸では貧しい暮らしをしていてなんとか自由の国アメリカに来た、という設定になっています。日本人のメンタリティとはまた違う部分もあるかも知れませんが、そんな家族の娘であるIvyが、地元紙ボストングローブに掲載されるような人たちの社会へ入っていく過程はとても興味深いものがあります。そしてそういった社会が完全にはアウトサイダーを受け入れてはくれないという現実を匂わせつつ、Ivyが最後に選択した人生は、小説ならではの着地点でした。

アジアンヘイトクライムが問題になっている昨今ですが、この小説はアジア人読者として興味深い部分もあり、ここ数ヶ月で読んだ本の中では一番面白かった気がします。

作家のSusie Yang自身も中国生まれのアメリカ育ちなのですが、この小説がなんとデビュー作。是非、次作も読んでみたいです。

不倫がやたらと叩かれる昨今ですが...小説:Monogamy

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by Sue Miller

舞台はマサチューセッツ州ケンブリッジ。ハーバード近くの本屋を経営する夫グラハムと妻で写真家のアニー。パーティー好きのグラハムは社交的で二人は誰から見ても素敵な夫婦だった。しかしグラハムが突然亡くなり、その後に分かった事実から残されたアニーは複雑な思いを処理しきれず。。。

特段、大きなドラマがあるわけではないのですが、長く一緒にいた夫婦のどちらか一方が突然亡くなった時に、残された方にどういう感情が湧いて来てどんな風にそれを受け入れていくのか、という部分が穏やかで丁寧な視線で描かれていていい読後感が得られました。

身近な誰かが亡くなった時、純粋に悲しみにくれることが時に難しいこともあり、一つのことがきっかけでそういえばあの時もこうだったこの時もこうだった、と思い巡らしてしまって自分のことさえ嫌になる時があること、なんとなく想像がつきます。

この小説の中では、自分の現在の生活空間と近い街や通りの名前が出て来て、登場人物の生活が割とリアルに想像できてそういう意味でも楽しめました。

表現: be carried away

調子に乗る、手が付けられない状況になる、みたいな意味合いがあって、子供たちはよく知っている言葉でした。(先生とかにしょっちゅう言われてるんでしょうねぇ)

最近読んだこの本の中ではウェディングコーディネーターがどんちゃん騒ぎを起こしかねない名門私立校出身の男性たちに対して心の中でこんなコメントをしています。

I'll have to keep my eye on them tomorrow, make sure they don't get carried away. (page123)

明日は、あの人たちが調子に乗って羽目を外さないようにちゃんと注意してみておかなくちゃ。

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鼻持ちならない男性がたくさん出てくる小説:THE GUEST LIST

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by Lucy Foley

アイルランド沖合の小さな島で行われたセレブリティの結婚式で、過去の人間関係が複雑に絡み合って起こるドラマ。

アメリカでpublic schoolといえば公立校のことですが、イギリスではトップ10%の名門私立を表すそうで、この小説の中にはそんなpublic school出身の大人たちが繰り広げる独特のノリみたいなものが随所に描かれています。

シーンは結婚式当日と数日前のそれぞれの登場人物の姿を行ったり来たりしながら描かれ、さながらテンポの速い映画をみているような気分になります。友情のようなものに縛られている人間関係、姉妹間の強い絆、親子間の確執などさまざまな愛憎が入り乱れて物語は最後までテンポ良く進んでいきます。

私自身がもう少しこの地域の地形や気候に詳しければもっともっと臨場感をもって楽しめたのにな、というところが少し残念でした。 

 

表現: out of the blue

突然に。という意味に使われて、例えばこの本の中では

 It wasn't totally out of the blue. He'd promised it, really. When we were kids, at Trevellyan's. (JOHNNO-The Best Man) 

新郎の昔からの友人が僕が新郎の付き添いのベストマンになるよ、と言った時に新郎が少し驚いた顔をするところで出て来ます。

(ベストマンになるという申し出は)全くの突然でもない。彼はそう約束していた。僕らがまだあのパブリックスクールにいた頃に。

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あと、最近見たギタリストのMIYAVIさんもインタビューの中で映画「UNBROKEN」出演の依頼は突然だった、的なことを話されている時にこのout of blue を使っていて、カッコいいーと思ってしまいました。

 

 

表現: take the edge off

今年、ボストンエリアは雪がすごいです。。コロナと雪でお出かけの機会も激減で余った時間でただただ鬱々としている日々。 

昨日読み始めた本の中で早速面白い表現があったので備忘録でメモしておきます。

 

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登場人物の一人が、離島で行われる結婚式に船で向かっている途中、海が荒れて気分が悪くなってこう言います。

'I've taken a couple of pills, but they've hardly taken the edge off.'(HANNAH-The Plus-One)

 「薬を飲んできたんだけど、ほとんど効いてないわ。。。」

エッジをオフにする。。。転じて何かを和らげる、という意味になるようで、同意語にはease, decrease, reduce, diminish,relieve などになります。

  

 

表現:let you off the hook

息子と雪の中ドライブしていると、夏には絶対に日本に帰りたい、と言い出すので、日本に帰ったら何がしたい?と聞くと

「海に潜って貝を取ってそれでバーベキューしたい。」と。それは私が子供の頃に夏の海辺で家族とやっていたことでした。小さなボートでこれまた小さな無人島へ行き、そこにボートを止めて家族全員でシュノーケリングをしてサザエとかを取ります。

でもそれは本当は違法なんだよ、沢山取って売ったりしたりしないだろう、ということで見逃してくれてるだけで。という話の流れから見逃してあげる、って何て言う?と聞くと彼がタイトルの例文を出してくれました。let (someone) off the hook で見逃す、というニュアンスになるそうです。

「使ったことある?」と聞くと、使われたことはないけど、学校の先生にはこの言葉を言われたことはむちゃくちゃあるそうです。。。

I'll let you off the hook just this once. - 今回だけは見逃してあげる。

だいたいどの先生にそう言われていたかも想像がついてしまいました。

ちなみに娘に聞くと、彼女は let (something) slide を教えてくれました。これはどちらかと言うと、見逃すというよりは、失敗や間違いに対してそれは放っておきましょう、それに関しては無視しましょう、というニュアンスのようです。