++English七転八倒++

「これって英語でどう言うの?」な毎日の備忘録

戦禍でのこの主人公たちの生き方を完全に今の自分が消化するのは難しい。小説:Nightingale

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by Kristin Hannah

第二次世界大戦下でそれぞれの信じる方向でひたむきに生きる姉妹のお話。アラスカで育つ少女の話、The Great Aloneはこの小説の後に書かれたものです。

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コロナで子供たちの学校が今年の3月半ばに急遽休校になってから7ヶ月が経ちました。子供たちのスポーツの試合も一部復活しつつありますが、久しぶりにみんなが体を動かす姿を見ていると長かったステイホームから少しでも体を動かせる場を与えてもらったことに感謝すると同時に、ほとんどの子供たちが以前に比べて動くスピードが落ちていることに気づかされます。ただ、家にいてオンラインだけで友達や学校とつながっていた時間。普通の生活が送れない環境の中で人は何を得て何を失うのか、と考えずにはいられませんでした。得たものは、、、ありがちですが家族との濃密な(過ぎる?)時間とか。

だけど、戦争はただただ大切なものを失い続けていくことなのだとこの小説を読んで改めて感じさせられました。ただただ大切なものを失い続けて行く中で、尊厳を持って生きていた主人公姉妹に感銘を受けましたが、その生き方を完全に私自身が理解するのは難しいと感じました。自分ならどうするか、彼女たちはなぜそう選択したのか。自分の信念に背かないため、子供にあるべき生き方を示すため、あるいはただ目の前の誰かを助けるため、など色々な理由があるでしょうがきっとどれも決して合理的には説明できないのでしょう。と同時に、本当に人間の尊厳を奪えるのは人間の悪意だけなのだ、ということも直視させられました。

ボストンの街中にNew England Holocaust Memorialと呼ばれるモニュメントがあります。その中心となるガラスの6本の柱には6桁の数字が上から下まで隙間なく刻まれています。それはホロコーストで殺された人たちの番号です。透明なガラスの柱を通り抜けながらその数字の量と、その全てが人の命を表している事実に圧倒されます。その中にはサバイバーの方たちのコメントもいくつか書かれています。その中の一つで、忘れられないものを下記に添付します。

"Nothing belongs to us anymore. They have taken away our clothes, our shoes, even our hair. If we speak, they will not listen to us. And if they listen, they will not understand. They have even taken away our names. My number is 174517. I will carry the tatoo on my left arm until I die."-Primo Levi