++English七転八倒++

「これって英語でどう言うの?」な毎日の備忘録

大晦日のドタバタ人質事件 小説: Anxious People

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by Fredrik Backman

舞台はストックホルムの郊外。人生に絶望した人が銀行強盗をやらかすのですが、その銀行はキャッシュレス銀行で犯人は何も取れないまま、向かいのビルに逃げ込みます。逃げ込んだビルの中では大晦日にもかかわらず、不動産屋さんによるアパートツアーが行われていて、売りに出ているそのアパートの一室を見に来ていた全員が結果的に人質になってしまいます。でもその人質たちがとにかくみんなはちゃめちゃな性格で犯人の言うことをちゃんと聞いてくれません。それどころか犯人に一体何がしたいんだと責め立てます。なんだか三谷幸喜の映画をみているような気分になります。場面転換も早いです。

そしてこんがらがっているように見えていた事実が、実はこんがらがっているように見せられていた、ということもだんだん分かって来ます。

年末に読み切りたかったので、半分は本で読んで半分はオーディオブックで聞きました。おそらくそのオーディオブックの声のトーンに大きく影響されているとも思うのですが、私は人質の中のエステラという80代のおばあさんのキャラクターにハマってしまいました。

登場人物たちはみな人生にどこかで行き詰まっている人たち。そして大晦日のアパートメントツアー。普通に考えたら誰がいったい大晦日なんかに新しい家の販売会に行くでしょうか。

でもこの人質ドラマの中には、笑えるドタバタ劇の合間に普通の人にもあてはまる悲しみや気付きみたいなものもチラついています。

例えばSNSでのリア充自慢について、「本当に素敵な時間を過ごしている人はいちいち写真を撮ることに多くの時間をさいたりはしないものです。もしも誰かの日々の人生がSNS上でとても素敵に見えるとするなら、その人の人生はたわごとだらけだということです。(すみません意訳してます。)」

“The truth of course is that if people really were as happy as they look on the Internet, they wouldn’t spend so much damn time on the Internet, because no one who’s having a really good day spends half of it taking pictures of themselves. Anyone can nurture a myth about their life if they have enough manure, so if the grass looks greener on the other side of the fence, that’s probably because it’s full of shit.”

でも、この the grass looks greener on the other side of the fence, 隣の芝生は青く見える、って部分なんですが、うちの場合、本当に隣の芝生がめちゃめちゃきれいにちゃんと手入れされていて、リアルにこの言葉をよく使うんですよね。。