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「これって英語でどう言うの?」な毎日の備忘録

戦前、戦後のマンハッタンで生きた女性の独白 小説:City of Girls

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by Elizabeth Gilbert

主人公のヴィヴィアンはニューヨークのアップステート、クリントンという小さな町の裕福な家に生まれた自由奔放な女の子で、素行不良で名門女子大を追い出され、マンハッタンで小さなシアターを営業している叔母さんの家に送られます。その時彼女は19歳、時代は1940年のニューヨーク。ストーリーはシアターでショーを作り上げる高揚感やショーガールと夜の街で遊び倒す主人公のはちゃめちゃな毎日からスタートします。

物語は2010年現在のヴィヴィアンが過去を振り返る独白形式で進行します。シアターオーナーの叔母さんの庇護のもとで、ヴィヴィアンは小さな頃からたしなみとしておばあさんから叩き込んでもらった裁縫の技術を使って戦前、戦後のマンハッタンで生きる場所を見つけていきます。

戦前のニューヨークの活気や戦中の混沌と憂鬱がとても興味深く描かれていて面白かったのですが、主人公のヴィヴィアンの生き方の大半に共感しづらく、なかなかストーリーに入り込めませんでした。

彼女は色々なバカなことをやらかすのですが、その中で、尊敬している人を浅はかにも決定的に裏切ってしまうシーンがあります。

The things that you don't understand about yourself, Vivian, is that you're not an interesting person. You are pretty, yes-but that's only because you are yound. The pretiness will soon fade. But you will never be an interesting person. 

そしてとどめはこれです。彼女が仲良く深夜遊びまわってた友達と二人まとめて

The two of you are just a pair of dreadfully average girls. Types of girls. There are a million more just like you. 

こんなこと言われたら、気分良くマンハッタン生活を満喫していた彼女は相当凹むだろうな、と思いつつあまり彼女に同情できない自分がいました。反面、自分の20代も相当ろくでもない20代で今考えたら穴があったら入りたいくらい恥ずかしいくらいなので、彼女の自業自得な状況はとても理解はできるのです。理解はできるけど、共感はできない。多分、20代の自分が目の前に現れたら、私はその自分自身に共感できなくて、渾々と正してしまうんだろうな、と思ったりもするのです。そう言う意味では、共感しづらいのは彼女の若い頃の生き方にではなく、20代の頃の若気の至りを少し自慢げに回想しているヴィヴィアンのトーンなのかも知れません。

ちなみにこの本を読み終わってから知ったのですが、作者は映画Eat, Pray, Love (邦題: 食べて、祈って、恋をして 2010年)の原作者でした。この映画もイマイチしっくりこなかったので、やっぱり私には少し合わないのかな。