オリーブによってパンドラの箱が開いていく小説:Olive, Again
by Elizabeth Strout
"Olive Kitteridge"(上記右)の続編。メーン州の小さな街を舞台にした、正直者でどこにでも首を突っ込んでいくオリーブ・キタレッジという女性の周りで起こる小さな物語の数々。ミステリーでもサスペンスでもありません。NHKの深夜に30分枠で作られるような等身大人間ドラマです。それぞれの小さな物語はほとんど関連性がない場合が多く、ただそのどのお話にもオリーブが登場する、という設定。バラバラのパズルみたいなお話を読んでいくうちに、小さな街で歳を重ねていくことのちょっと切ないリアリティがずしんと自分の中に降りてくる感じがしました。孤独、家族との葛藤、友人との軋轢、かなわなかった願い、漠然とした喪失感。。。そういったものが次から次へと結構なリアリティで描かれています。
しかし、その奥に、オリーブの持っている芯の強さというか、我の強さというか、おそらく無自覚の自己肯定感というか、、そんなようなものが最後の救いになって、パンドラの箱の最後に出て来る「希望」のように私の読後感をスッキリとさせてくれました。
今回、ブッククラブでは「オリーブ、アゲイン」の方がセレクトされていたのですが、最初の本を読んでいなかったので、慌てて2冊一気に読みました。1冊目の方が小説としては面白かった気がしますが、「オリーブ、アゲイン」の方は、年老いていくのも悪くないな、と思える一冊でした。
個人的にはこの本を読んでいる間中、私の中ではオリーブがシャーリー・マクレーンにしか思えませんでした。でも読み終わって調べてみたら、HBOの劇画版ではオリーブはフランシス・マクドーマンドによって演じられていました。うーん、確かにこの人もイメージに合いますね。。