++English七転八倒++

「これって英語でどう言うの?」な毎日の備忘録

アッパーミドルの不遜さを感じる小説:Little fires everywhere

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by Celeste Ng

オハイオ州にあるシェーカーズハイツという街を中心として、4人のティーネイジャーを持つ裕福なリチャードソン一家と、この一家の持っている賃貸用の住宅の2階に住人として引っ越してきたアーティストのミアとその娘パールとの微妙な人間関係。そこへ、街の消防署に捨てられていたアジア人の赤ちゃんを引き取って養子にした白人夫婦と実の母親との裁判が絡み合って話は進んでいきます。

この本は2017年に出版されていますが、今年、Huluで映像化されています。ドラマの中ではリース・ウィザースプーンがリチャードソン一家の母親でを演じています。

貧しくて子供を消防署の前に置き去りにせざるを得なかったアジア人女性、その子を養子にして自分たちは豊かでより良い人生をその赤ちゃんに与えられると公言してはばからない裕福な夫婦。作者はどちらのサイドにも立たずに物語を進行させています。

個人的にはリチャードソン一家の独善的な母親に、物語の終わりでとてつもなく不幸な事件が待っているのではないか、と期待しながらずーっと読んでいましたが、私が期待したほどの鉄槌は下っていないような印象で、作者は優しい人なのかなぁ、と思ってしまいました。あるいは私が意地悪すぎるのか。。

この作者のセレステ・イングはこのシェーカーズハイツで生まれ育って、ハーバードを卒業して、今はマサチューセッツ州ケンブリッジ在住 出そうで、もしかしたら街中ですれ違ってるかも知れません。